簡単なインバスケットを考える

「簡単」の意味するところ

あらためて国語辞書を確認してみると、「簡単」には2つの意味があるようです。

  • 単純で分かりやすい
  • 容易で手間なく実行できる

すると今回のテーマである「簡単なインバスケット」と「〇〇なインバスケット」についての差、その前提条件となる〇〇については、「複雑」や「困難」が該当することになります。

「複雑」と「困難」

この複雑と困難ですが、意味としては同じようで微妙な違いがあり、複雑が「原因」で困難が「結果」、つまりインバスケットをテーマとすると、複雑なインバスケットは困難なインバスケットであるといった構図となります。

複雑さを考える

あらためて国語辞書を確認してみました。

複雑・・・物事が絡み合っていて容易く理解、解決ができない様子

物事が絡み合う-まさにインバスケットの真骨頂であり、困難の原因である複雑、物事の絡み具合で規定されるといっても過言ではありませ。

なので困難なインバスケット(いわゆる難しいインバスケット)の第一の条件は「物事が絡み合っている」といえるでしょう。

複雑さを時制的に考える

一方、複雑を「物事が絡み合っているので容易く理解できない」と「物事が絡み合っているので容易く解決ができない」に分けて考えてみると、過去や現在、そして完了や完了進行の場合は前者である「理解」で片づけてよさそうです。

ただし、未来や進行の場合は「解決」という理解した後のアクションの結果が絡み合うという何だかよく分からない趣きになってくるので、「(物事を余計に絡ませる)アクションの選択肢が数多く存在する」が困難なインバスケット(いわゆる難しいインバスケット)の第二の条件となってきます。

困難について考える

ここまでは「複雑だから困難」に目を向けて考えてきましたが、インバスケットは単体そのものの困難だけではなく、演習実施としての困難といった側面もあり、この場合は演習実施の要素である演習の場所、演習の時間、演習のインフラなどが関係してきます。

ただし、演習の場所や演習のインフラは取って付けた感があり、大きなポイントは演習の時間、つまりインバスケットの量と制約としての演習時間になります(インバスケットの質は前述の複雑さ)。

この演習時間について、受講者の皆さんはインバスケットの量>演習時間で困難を語ることがほとんどです。

「1時間で25案件のメール処理」、「1時間30分で30案件を読んで方針立案」、このあたりの演習時間を設定しているケースもあり、難易度をさらに混乱の沼に引き込んでしまうと…。

この風潮や一般的な考えによって、先の「演習時間が不足するインバスケットは困難(難しい)である」がもっともらしい見解として漂っており、これが困難なインバスケット(いわゆる難しいインバスケット)の第三の条件となってきます。

あらためて簡単なインバスケットとは

第一の条件は「物事が絡み合っていない」

第二の条件は「(物事を余計に絡ませる)アクションの選択肢が数多く存在しない」

第三の条件は「インバスケットの量(案件数・メール文の分量)が少なくて演習時間が十分にある」

この条件をみると何か一つ抜けているようなですが、受講者の皆さんが違和感を覚える点は、おそらくインバスケットの役割設定であると推察します。

インバスケット上のあなたの役割は本部長、インバスケットのあなたの役割は入社2年目のサブリーダー候補生、このような役割設定も簡単なインバスケットの要件となります。

しかし、この役割設定ですが副次的なものであり、通常の場合、組織のピラミッドの上位と下位を比較すると、下位の入社2年目のサブリーダー候補生が直面する状況、問題のほうが物事は絡み合っておらず、アクションの選択肢は数多く存在しないになり、結果的に簡単なインバスケットとなる訳で、繰り返しますが役割設定は副次的です。

簡単なインバスケットの難しさ

このように一般的に当たり前に使われる「簡単なテスト」「難しい試験」「難問だらけのケーススタディ」「難易度の高いインバスケット」などのキーワードを考えてきましたが、この背景には弊社、みんなのアセスメント・サブスク版ではインバスケットに難易度を設定しており、その難易度について受講者の皆さんからご質問をいただいているからです。

現時点で、難易度60、80、90、140、160の5本のインバスケットをシステムに上げてありますが、中には「160のインバスケットが簡単だった」「60のインバスケットが難しすぎた、ザコキャラとは思えない…」など、弊社の難易度の認識と受講者の皆さんの認識には距離があるときもあるのかなと…。

第三の条件である「インバスケットの量と演習時間」については、巷の都市伝説に左右されないでねとの願いも込めて演習時間は長めに設定しており、同時に演習時間の制限がないものも同時に設定しています。

すると第一の条件「物事の絡み合い度合い」、第二の条件「(物事を余計に絡ませる)アクションの選択肢の数」の影響と考えられますが、なぜ弊社と受講者の皆さんの間で難易度の認識が乖離するのか。

仮説ですが一つ二つを想定しています。

今後、受講者の皆さんの解答内容、そして数多くの意見、これを参考にして「インバスケットの難易度」という出口のなさそうな領域について、さらに踏み込んでいきたいと思います。

現在の受講者の皆さんだけでなく、未来の受講者の皆さんにもあらためてご支援をいただければとお願いいたします。

そして予告となりますが、5月中旬には「難易度300」のインバスケットをシステムアップ、そして6月末までには「難易度40」のインバスケットをシステムアップします。

この難易度40や難易度300のインバスケットにチャレンジしていただける受講者の皆さんとの対話を通じ、さらにより良いインバスケットを開発してきます。引き続きよろしくお願い申し上げます。