人材アセスメントでの勘違い

インバスケット演習でこんな人はいないはずですが…

白紙で提出する人はいませんよね?

面談演習でこんな人はいないはずですが…

10分間、ふて顔でダンマリを決め込む人はいませんよね?

グループ討議でこんな人はいないはずですが…

50分間、我れ関せずでスマホを見ながら座っているだけの人はいませんよね?

極端な喩えですが

インバスケット演習では、白紙で提出する人に近しい人がかなりの確率で存在します。

早川さん

エリアリーダーの本間です。
この問題、他のお客様から同じようなクレームをいただいています。

クレームにあるような問題が発生しているのかどうかについては今一度確認した上で報告します。
なお、次回のエリアリーダー会議での報告は出張中につき非常に難しいです。
エリアリーダー会議そのものには出席しますのでよろしくお願いいたします。

白紙での提出ではありませんが、内容的には「これぞ先送り」の典型であり、白紙と同じような扱いとなります。

早川様

ご連絡ありがとうございます。新任のエリアリーダーの本間です。

今回の問題について状況は理解しました。ただ、他メンバーからの報告によると、あるお客様の思い込みという噂も出ていますので、まずは事実確認をする必要があります。
また、新任のエリアリーダーということもあり、あるお客様とは面識がなく、本当に解決すべきか判断ができないのですが、この点を調査していただけますでしょうか。
取り急ぎご報告いたします。よろしくお願いいたします。

白紙での提出ではありませんが、内容的には「これぞ調査・確認」の典型であり、白紙と同じような扱いとなります。

早川サブリーダー

はじめまして。新任のエリアリーダーの本間です。

メールを転送します。私が出張中に実施予定の特別セールですが、書かれているように集客アップに向けた施策も含めて実施をしておいてください。なお、着任日である3月15日に報告をお願いします。よろしくお願いいたします。

白紙での提出ではありませんが、内容的には「これぞ丸投げ」の典型であり、白紙と同じような扱いとなります。

先送り、調査・確認、丸投げ

インバスケット演習で【やってはいけないワースト3】ですが、アセッサーにとっては【どんどんやってねベスト3】となります。

だって、評価がラクチンだから…

25案件中、このベスト3で全て解答されているとしたら、おそらく1分で解答内容を横目で睨んで、思考のコンピテンシーをオール2として評価しますね。あ、ただこの3つの解答内容を前提とすると案件間のリンクは把握しているので、理解力は3、分析力1、計画力2、創造力1、決断力2で評価します(6段階で)。

もっと怖いのは、何だかなアセッサーにあたってしまうと、この手の解答について「意欲がないよね」「責任感が皆無でないか?」「リーダーとしての自覚がないぞ!」「部下に対する思い遣りもない」と資質や対人のコンピテンシーまで下げるといった暴挙に直面しちゃうかもしれません…

インバスケット演習では不安だからね

受講者の皆さんが不安になる気持ちよくわかります。時間がなく、メール内容は曖昧で、ヒントは少なく、あちこちにリンクが貼ってあって、難しいことを考えたり、アイデア出せと迫ったりなので「できる限りミスを減らそう」といった意識に傾くこと無理ないです。

ただ、インバスケット演習に限らず、人材アセスメントの各演習の設計思想は「可能な限りアウトプットのレベルが下方に貼り付くように」なんですね。

インバスケット演習でも面談演習でもグループ討議でも方針立案演習でも、受講者の方のアウトプットは〇〇なようにする、そして〇〇〇になるようにする…

特にインバスケット演習の場合は、【先送り、調査・確認、丸投げ】の解答が増えますようにとの願いを込めて設計、作成されるというイヤな現実を直視し、アセッサー側、運営側の思惑に乱されないようにしてくださいね。