インバスケット演習と面談演習
共通する部分
時節柄(?)短めで薄い内容となります。
本来、このインバスケット演習と面談演習の共通する部分はイメージし辛いです。受講者の皆さんにとっては…。
一方、アセッサーの立場からすると、思わぬところで共通する部分があります。
それは「ヒアリング」。
インバスケット演習では、理解や分析、創造、計画、決断が求められているのに、指示文や依頼文でヒアリングがかなり目立ちます。
・お客様が不満を示している背景を教えてください
・プロジェクトが遅れている理由はなぜですか
・この製品の最も大きな問題はどこにあると考えますか
このヒアリングのポイントは皆さん的確なケースが多いです。そう、まさに的確です。だってそこがその案件(問題)のポイントだから。つまり皆さんに考えていただきたいところ(分析の着眼先)を皆さんは捉えているといった訳です。
ただ、別の観点からすると、考えていただきたいところをインバスケット演習の中のキャスト(部下や他部門の人たちなど)にヒアリングしても、当たり前ですが答えは返ってきません。
それどころか、雑なアセッサーに当たると「付加価値ない処理だよね」「決断できてないね」「何だか外してないかー」「聞いてどうする」「考えることを放棄しているね」など言われたい放題です…。
面談演習では
同じように開始直後、受講者の皆さんはヒアリングです。
ただ、インバスケット演習と違って的を外したヒアリングが多いかな…。
・形式的なアイスブレイクからのヒアリング
・状況設定シートに書いてあることをトレースしてのヒアリング
それをヒアリングすることで、対人関係のコンピテンシー、資質関係のディメンションのスコアが上がりますかと詰めたい気分が一気に高まり、その後のロールプレイは性格の悪い部下を演じる演じる演じる…。
この2点、かなりの確率でアセッサーの心象を悪くします。だって時間のムダだし、三文芝居のパートナーをさせられることってアセッサー、プライドが傷つく人が多いようです。
閑話休題、インバスケット演習でのヒアリングとして的確であった以下の例の3点です。
・お客様が不満を示している背景を教えてください
・プロジェクトが遅れている理由はなぜですか
・この製品の最も大きな問題はどこにあると考えますか
当然、面談演習でも何らかのテーマが設定されているので、そのテーマの背景や要因、課題についてヒアリングを進めることは次の一手として有効ですね。アイスブレイク・ヒアリングやトレース・ヒアリングに比べると…。
ただ、アセッサーの多くは受講者の方のオープンクエッションに曖昧に対応するという習性があります。
「ああっ」「えっと」「何で答える必要あるの?」「知らないし」など。
中には「それ考えるのは課長でしょ!」「背景か…。広くて複雑なのでここで簡単に答える訳にはいかないかなと(クスっ)」「プロジェクトが遅れている理由は【プロジェクトが遅れたから】です」
どうみてもアレされてますよね。
であれば、仮説的にクローズドクエッションに変換しましょう。
・お客様が不満を示している背景の一つとしてアフター訪問が雑だからですか?
・プロジェクトが遅れている理由は最初の線引きが甘々だったからですよね?
・この製品の最も大きな問題はスペックと価格の乖離ですよね?
アセッサーの習性の一つとして「議論好き」が上げられます。このようにある程度、的を射た質問であればおそらく議論の土俵に上がってくれると信じています。
土俵に上がってくれたら、アレされることなく次の議論の材料が無言であれ有言であれ入手できることになります。
まとめます。
・インバスケット演習でのヒアリングは何の意味もない
・面談演習でのヒアリングはテーマを絞って仮説的にヒアリングすれば意味がある
あ、面談演習のヒアリングのポイントをもう一つお伝えします。
面談演習の状況設定シートでの詳細設定って、甘いアセッサーも入れば入念なアセッサーも入るしって感じです。また、ストーリーの詳細設定は入念だけど、状況の詳細設定は意外と甘くなる傾向です。
・プロジェクトが遅れている理由は最初の線引きが甘々だったからですよね?
このプロジェクトについての詳細設定、例えば、入口と出口の日程、メンバー数、主宰者名、内部での意思決定プロセス、予算金額、ベンダー活用の可否や現状の程度、アウトプットの形式、進行程度、現時点での各項目の上下乖離などなど…。
受講者の皆さんって、アイスブレイク・ヒアリングやトレース・ヒアリングには熱心だけど、テーマの詳細設定についてのヒアリングはゼロに近いかも。
面談開始からこの付近をヒアリングするとアセッサーへの圧にもなるし、口を滑らさせて自身の収束ストーリーにも活用できるし、他の受講者との差別化にもなるし。
注意点として、アセッサーに逆に圧をかける際にシメシメ顔にならないよう、そして煽り口調にならないようにしましょう。
特に〇〇さん、煽り口調には注意してくださいね。