インバスケット演習と優先順位

優先順位は都市伝説?

2024年スタートの合格セミナーが終了しました。テーマは「インバスケット演習・優先順位と解答フォーマット」です。

特に優先順位については受講者の皆さんの関心が高かったこともあり、多くの方にご受講いただきました。あらためて御礼申し上げます。

オンライン活用の合格セミナーであったため、受講者の方の反応は見え辛かったところもありますが、「えっと…」「何となくわかるけど…」といった雰囲気が伝わってきました。

背景には巷で囁かれている「インバスケット演習では優先順位が大切」を無下にしたせいかもしれません。しかし、あらためてお伝えしましょう。インバスケット演習において優先順位に意味や価値はありません。

間違いなく都市伝説の一つです。例外を除いては。

都市伝説じゃない優先順位

シンプルな展開ですが、人材アセスメントのプログラムの中でインバスケット演習が実施され、その中での設問的に「優先順位を付けなさい」「優先順位を答えなさい」「優先順位の高い順に案件を選びなさい」が示されている場合は都市伝説ではなく意識すべきポイントになります。当たり前の話。

また、人材アセスメントにおける評価項目、つまりディメンションとかコンピテンシーとかに「優先順位設定力」とか「優先順位判断力」とか「重要性と緊急性見極めスキル」とか「プライオリティ分析力」とか「優先順位計画管理統制力」とかが設定されている場合、これも意識すべきポイントになります。何だか不思議な名称ですが。

なので、受講者の皆さんは自社の人材アセスメント、その中での評価項目やインバスケット演習の中身について積極的に情報を収集し、仮にこのような感じになっていれば優先順位について、自分なりの考えを固めておく必要があります。

優先順位が都市伝説の場合

こちらもシンプルな展開ですが、インバスケット演習の中で余計な設問がなく、案件処理や方針立案を素直に実施する場合、そして人材アセスメントにおける評価項目(ディメンションやコンピテンシー)に優先順位といった項目が存在しない場合、優先順位というものを、特に案件処理の場でどのように活用するのかといった疑問が残ります。

前提条件として、アセッサーによる評価会議の席上、緊急性や重要性という優先順位が話題になることは少なく(インバスケット演習の設問にもないし評価基準にもないし)、それを意識しているのかいないのかが案件処理のアウトプットからは分かり辛い以上(受講者の方が「緊急性が高いので真っ先に処理しました」とか「重要性が高いので指示文を緻密に書きました」とか思いがあったとしても)、重要性や緊急性といった優先順位というキーワードは、インバスケットの評価では重要性が低くなる理屈です。

別の言い方ですが、「インバスケット演習への取り組み時、重要性や緊急性のマトリクスを使って約20分、20案件を区分しました」という受講者の方の行動の結果が、「力を入れる案件を選ぶことができた」「沢山、記述する案件を選ぶことができた」「解答用紙の真っ先部分に書くことができた」であったとした場合、アセッサーは沢山書いたその内容、真っ先に書いたその内容によって、【理解】【分析】【創造】【計画】【決断】のコンピテンシーの評価を行うものの、受講者の方の20分間の区分の思考、その「選んだ」「区分した」という取り組み姿勢に目を向けることも意識を向けることもないということです。

どーでもいい案件と判断が難しい案件

一方、インバスケット演習を作成する立場からすると、例えば25案件のインバスケット演習で、どーでもいい案件と判断が難しい案件を混ぜる形で作成します。

これは重要性という優先順位を主役にしたものではなく、判断が難しい度合いSクラス案件・Aクラス案件・Bクラス案件・Cクラス案件を意識して作成、そして「受講者の方がどの程度の案件まで答えようとするか」「どの程度の案件まで確度が高い指示を行えるか」を観察するために設定し作成します。

また、どーでもいい案件に見せかけて裏読みすれば判断が難しい案件、どーでもいい案件だけど他の案件とのリンクを貼っている案件などの意味がある案件も設定して作成します。

重要性という優先順位のキーワードが大切かなと思い込んでしまう背景には、このインバスケット演習の作成側の観察・評価の事情によって、判断が難しい案件(思考が甘いと薄い指示になってしまう案件)とどーでもいい案件(なんだかあっさりと当たり前のことや意味がないことが書いてある案件)が混ざって存在していることをお伝えいたします。

都市伝説じゃない優先順位の場合の考え方

ということで、おそらく多くの受講者の方が受講する人材アセスメント、その中で実施するインバスケット演習では、優先順位が都市伝説の場合に該当すると存じます。

一方、少数派でしょうが「優先順位を付けなさい」「優先順位を答えなさい」「優先順位の高い順に案件を選びなさい」というインバスケット演習を渡される受講者の方もいらっしゃると存じます。

では、その少数派の受講者の方の大きな疑問である「重要性って?」「緊急性って?」

この付近についてはコラムでお伝えしきれる自信がないので、合格セミナーなどをどうぞご活用ください。