インバスケット演習は書き方ひとつで評価が変わる①

ある受講者の方の解答を評価&添削します

4月1日(月)からサブスク版の料金を改定します。なのでコンテンツも充実していく必要があるとプレッシャーです。

・合格セミナーのアーカイブ配信

・金の解答、銀の解答、鉄の解答の更新スピードアップ

今のところこの2つを考えていますが、3つ目はジャストアイデアですが「インバスケット演習の評価&添削」を?

そこで今回はウォームアップとしてのコラムとなります。まずはある受講者の方の解答から…

山本専務
お世話になっております。伊藤です。今後の営業時間については以下のとおりです。

まず、深夜営業(午後11時~午前5時)はエリアに関係なくただちに中止すべきと考えます。
理由は、人件費の削減のためです。また、現状、深夜営業を中止したことによる業績低下もないと見込まれることも理由の一つです。


ただし、顧客アンケートなどを活用し以下の点は確認すべきと考えますのでこちらを実施いたします。
・名古屋地区の深夜営業よる人件費と対売上比率(早川さん)
・名古屋地区で深夜営業を実施することのメリット(早川さん)
・深夜営業を行っていない浜松地区で、深夜営業がなかったことでのクレームの有無(本間さん)
・深夜営業を継続するものの、スタッフを全てバイトにした場合の人件費(早川さん)

<別メール>

To 早川さん、本間さん cc山本専務 高橋常務

お世話になっております。この度、三田さんに代わり、統括本部長に就任しました伊藤です。
本日は皆様にお願いがあり、メールさせていただきます。


深夜営業に関して今後の方針を検討するので、以下の調査をお願いいたします。
・名古屋地区の深夜営業よる人件費と対売上比率(早川さん)
・名古屋地区で深夜営業を実施することのメリット(早川さん)
・深夜営業を行っていない浜松地区で、深夜営業がなかったことでのクレームの有無(本間さん)
・深夜営業のスタッフを全てバイトにした場合の人件費(早川さん)
以上を2/7までにまとめ、本メールへ返信願います。大変お手数をお掛けいたしますが、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

いかがでしょうか?

「ある方の解答を示したはいいけど、インバスケット演習の案件内容が出ていないので解答の善し悪しがイメージできない」

おそらく、そんなご意見を持たれた方が多いのかもしれませんが、ここもインバスケットの評価の際のポイントになります。

解答を見ただけで案件の内容がイメージできるか?

いかがでしょうか? この解答を見ただけで案件、あるいはインバスケット演習の与件企業について以下のことが明確になってきます。

・山本専務から依頼が来ている

・山本専務は、24時間営業について統括本部長であるあなた(伊藤さん)に意見をもとめている

・深夜時間帯の売上構成比は比較して高くなく、時間帯別の対人件費比率は高い

・与件企業は24時間営業が主流の業種業態、コンビニ? ファストフード? ファミレス?

・伊藤さんが担当しているエリアは名古屋地区から浜松地区、おそらく東海エリア?

・名古屋地区リーダーが早川さん、浜松地区リーダーが本間さん

・エリアによって営業時間という基本オペレーションが異なっている?

・エリア全体での正社員比率は高い?

・伊藤さんの着任日は2月7日かな?

他にも考えられますが、この付近で止めておきます。

評価結果発表!(6段階評価)

まず、解答を見ただけで案件の内容がイメージできるかについてはかなりの水準なので、これは「理解力」のコンピテンシーがプラス評価、ここでは4ポイントの水準です。他の案件も含めて案件相互の関連性も把握していると考えられるため、最終的には5ポイントの可能性が。

次に、深夜営業をただちに中止すべきと提案しています。そして理由を2点、挙げています。厳密にいえば「人件費の削減(目的)」と「深夜営業を中止したことによる業績低下もない(派生問題)」は本質が異なるので、「理由」といった文言で二つを丸めるのはどうかなと思いますが、意思決定に根拠を添えていく思考、これは論理的に考える、いわゆる「分析力」が一定水準にあるといえそうです。ただし、目的と派生問題の区別がどうかなーといった点から「概念化」は甘い可能性を残しています。他、「人件費の削減(目的)」がどの範囲かについて考えた証拠物件(エリアレベルか全社レベルか)があれば、「概念化」や「分析力」はこの段階で4ポイントを担保していたかも…。

続けて「計画力」についてです。山本専務宛てメール、早川さん本間さん宛てメール、ほぼ同じ内容のものを2つの宛て先に送付していることからは慎重でミスの防止に力を入れていることが見えてきます。また、早川さん本間さんには納期を指定、そして報告チャネルも指定しています。この付近だけで「計画力」のコンピテンシーがプラス評価、ここでは4ポイントの水準です。そして山本専務宛てのメールで深夜営業の中止を提案しつつも確認事項を提示していること、そして早川さん山本さん宛てのメールでは、深夜営業について未だ検討課題だよと煙幕を張っています。このテクニック的なところ、「上位では決定事項であるものの下位には決定事項を未開示にしておく」は「計画力」として重要な証拠物件となります。ここまでであれば「計画力」は5ポイントでいいかな?

ではまとめましょう。この案件だけで評価するのであれば「理解力4ポイント」「分析力3ポイント」「概念化2ポイント」「計画力5ポイント」、おそらくですが全ての案件を見て評価してもここが最終着地となるでしょう。そして最終的には合格ラインにのりますでしょうか?

御社での人材アセスメントの合否についてアセスメント業者が口を挟む余地はありませんが、弊社での合格ラインでいえば「平均点よりホンの少し上、残念ながら…」の結果となるでしょう。

その要因として下の2つのコンピテンシーが厳しいからです。

決断力と創造性は?

決断力はここの案件だけでの評価であれば3ポイント、創造性については同様で2ポイントか1ポイントです…。

長くなったので次回に続きます。