インバスケット演習におけるテンプレートやフォーマットの活用

あまり具体的過ぎると…

人材アセスメントのハイシーズン真っ只中、多くの受講者の方からお問い合わせをいただいております。お試しのお申込みへのご対応が遅れてしまっていること、あらためてお詫び申し上げます。
さて、時節柄、弊社も既にハイシーズンに突入していることもあり、シンプルなコラムになることをご容赦ください。
インバスケット演習は時間との戦いの面もあり、受講者の皆さんもそれぞれ工夫を凝らしているようです。弊社の合格セミナーでも、効率性と効果性の両面を担保するためにはテンプレートやフォーマットの使用も仕方がないといったアドバイスをお送りしています。
ただ、このテンプレートやフォーマットの使用も、あまり具体的過ぎるとアセッサーに違和感を与えるので注意してくださいというのが今回のメッセージとなります。

ある受講者の方の解答例①です。

早川さん
連絡ありがとうございます。現在、弊社は3,500万円の赤字決算です。このような中、売上高の確保とコストの削減に取り組む必要があります。この前提条件の下、新たな取引についての案件は積極的に対応すべきです。競合が銀行取引停止処分となったことですが、弊社が競合のお客様を引き継げる可能性はありますか?
・競合の取引先の洗い出し
・この取引先へのアプローチについて検討

山田本部長
上記の通り早川さんへ指示をしております。お手数ですが早川さんへのご指示をお願い申し上げます。

早川さん

3月5日に最新状態を報告してください。

ある受講者の方の解答例②です。

本間さん
連絡ありがとうございます。現在、弊社は3,500万円の赤字決算です。このような中、売上高の確保とコストの削減に取り組む必要があります。この前提条件の下、既存の取引先を失うリスクには積極的に対応すべきです。既存の取引先が弊社と取引を継続していただける可能性を追求していきましょう。
・既存の取引先が弊社に対して不満に思っていることの調査
・取引継続に向けたアイデア出しと実施

山田本部長
上記の通り本間さんへ指示をしております。お手数ですが本間さんへのご指示をお願い申し上げます。

本間さん

3月5日に最新状態を報告してください。

解答例③も解答例④もご賢察通り…

この構文(?)で作成されているので省略しますが、このようなテンプレートやフォーマットは、評価するアセッサーに「ふざけているのか?」「舐められているのか?」といった印象を持たれてしまうことは明らかですよね?
したがって、今回のある受講者の方の解答例におけるテンプレートやフォーマットは、効率性の観点からは有益ですが、効果性の観点からはマイナスの影響が大きいと反省してください。

他にもマイナスの影響が

この2つの解答例ですが、アセッサーに与える印象レベルの問題でなく、致命的なマイナスがあることは受講者の皆さんもお気づきになっているかと存じます。

そうです。この付近についてですよね。

・競合の取引先の洗い出し
・この取引先へのアプローチについて検討

・既存の取引先が弊社に対して不満に思っていることの調査
・取引継続に向けたアイデア出しと実施

明らかなように、指示文の肝心要のこの部分、実質的にゼロ解答でゼロ評価になっています。「洗い出し」「検討」「調査」「アイデア出しと実施」、つまり抽象キーワードの体言止めって、「当該についての思考ができない」といった評価につながるので十分に心配してください。

え? 調査やアイデア出しを指示することはマズイんですか?

明らかにマズイです。明らかに低い評価を呼び込みます。現実の日常の業務場面では、さも当然に使用されているかと存じますが、人材アセスメントのインバスケット演習においては全くいいことなしと認識してください。

最後に

今回のコラムのメインテーマは「あまりにも具体的過ぎるテンプレートやフォーマットはダメ」ですが、これについての処方箋を最後にご案内します。つまり、「もう少し抽象度が高いテンプレートやフォーマットは効率性と効果性の両観点から有益」ということになります。ぜひご活用ください。

そこについてを具体的に案内したいのですが…… 以上となります。