インバスケット演習の定番ネタ

「桐島、会社やめるんだって!」

霧島の場合は日本相撲協会か所属部屋か…

さて、本日のテーマは意味深ですが定番ネタです。

他のクリエイティブに比べてインバスケット演習は定番ネタが長生きします。目分量と肌感覚ですが40年以上の定番ネタが現役で偉そうに登場しており、あらゆる意味で受講者の皆さんの困惑と混乱の根本原因となっています。

この定番ネタ、レベルで押さえると以下のようになるのでしょうか?

◆上司からの依頼

◆部下からの相談

◆他部門からの要請

◆ユーザーからのクレーム

このレベルについては「震源地と手渡されたものを抽象的に」なので、このレベルで定番ネタを論じることは不適切であると考えます。

なので、「○○○の依頼」「○○○の相談」「○○○の要請」「○○○のクレーム」のように「○○○」について、あるいは「○○○の相談」付近が定番ネタとして話題になるのでは?

「部下から退職の相談」

やはり、これが最もご長寿もご長寿でしょう。時代が移り変わっても配下のメンバーの悩みは尽きることがなく、その最終系として上司であるあなたに本人から、あるいは本人から相談を受けたメンバーから相談が来るわけですよね。この案件、巷で大流行の優先順位の観点からすると「重要性は高くて緊急性は低い」に区分されるのかな? ま、そんなことどうだっていいのですが、鉄板解答としては「引き止める」「着任後に相談にのる」「辞めたい相談をしてきた桐島関の状況について弟弟子に確認する」の3点セット付近でしょうか。

「人事評価の見直し」

20年ほど前からの定番ネタです。前任者が評価したある部下の評価表があるわけですよ。それについて上層部や人事、あるいは部下本人から見直してくださいと連絡が入ってきたという設定です。この案件は「重要性は低くて緊急性はいろいろ」に区分されるのかな? 鉄板解答は「着任したばかりなので上司などに依頼する」「期限が設定してあれば期限延長の依頼をする」「ある部下の能力に関係するリンクが貼ってあれば【その存在に気がついたよ】を織り込んだ内容にする」の3点セット付近でしょうか。

その他の定番ネタ

・異動のお願い

・ムダな会議の削減要請

・イベントへの人材支援要請

・出張期間中の営業会議

・年長の部下からリスキリングの相談

・休暇申請

他にもいろいろお見かけしますが、こんなところが定番ネタとして挙げられます。

さて、この定番ネタですが、お気づきのように多くの割合で「働く人の問題」に該当します。経営資源の切り口では「ヒト」、科目的では「人的資源管理」となりますね。

このように長生きの定番ネタ、なぜここまで生き残ってきたのでしょうか?

それらしく説明すると

昇進昇格アセスメントのターゲットポジションである管理者は、当然、ヒトの管理も求められており。これに関係する案件をインバスケット演習で実施することによって、そのスキルについて評価すべきであるから。

…書いてて欠伸が出てきました。おそらく40年~30年前はこんな欠伸を大層に話していたのでしょうか…

長生きの定番ネタ、生き残ってきた理由は「みんなそんなもんかと思い込んでいたから」「インバスケット演習を作成するのはかなり大変なので、この手の案件は水増しに便利だから」「インバスケット演習を作成する際、手許にあるインバスケット演習を下書きの材料にすることが多い、けど、与件企業の業種業態を同じくすることは不可、なのでトピック的な案件を援用することはできない。一方、この手のヒトの問題は古今東西、共通的なものなので、キャスト名を変えるだけで使用可能となるから」

…書いてて笑いがこみあげてきました。

定番ネタの扱い方

このように、どう考えても受講者の皆さんにとっては重要性が低い定番ネタ、昇進昇格アセスメントの場面でどう扱うかについては考えるまでもありません。

・完全無視

・他の「考え出」「書き出」がある案件のリンクの貼られ先として内容のみ細かく把握する

・その組織の課題の構成要素となっているかいないかの検討材料とする

この付近でお願いできますでしょうか。注意点は「メインとして扱わず、あくまでサブとして扱う」になります。一方、受講者の皆さんは、このヒト絡みの古今東西定番ネタについては、日常から悩まされたり、悩んだりで一言持っている方が多く、無意識に重いものだと考えてしまう傾向があるようです。

けど、インバスケット演習を作る側は、水増しや自己完結パクリ程度にしか考えていないことが多いので、「お、この案件は大切だ」だとか、「自分の考えを丁寧に書くことで【組織管理や人材管理】の評価が上がるのでは」と考えることがないようご注意を。

勇気とセンスがある方は

さて、この定番ネタ、インバスケット演習を作成する側も、解答する受講者の皆さん側も、フォーマットとしての「この付近」が暗黙の了解として存在しています。

解答する受講者の皆さん側、先ほどご説明した鉄板解答の3点セットをフォーマット的に解答するため、アセッサーからは「あー」とされちゃいます。

なのでフォーマットの真逆をそれらしく、かつ具体的に、さらに「なるほどねー」と解答する「金板解答」を示すことで、周囲の受講者の方からの差別化を狙いましょうか?

相撲部を辞めると相談をしてきた桐島主将に対して「引き止めるのではなく【送り出し】」、この付近を主テーマにしましょうか? 「着任後ではなく、巡業を中止してでも…」「状況確認は弟弟子ではなく部屋の女将さん、え、女将さんも?」

申し訳ございません。勇気はあるけどセンスとモラルがない解答となってしまいました。さて、来年は頑張りますのでどうぞご容赦ください。