分析力の評価について

人材アセスメントにおける分析力とは?

人材アセスメントのコンピテンシーは思考・対人・姿勢の3区分で構成され、特に受講者の方が意識されるものは思考のコンピテンシー、その中でも創造性や概念化の次に平均スコアが低くなるコンピテンシーが分析力となります。

長年、人材アセスメントに関与してきた経験からすると、この分析力、一般的な定義に近い「分けて明らかにする」でなく、論理や解析に近い意味で運用していると思います。実際、弊社の人材アセスメントでも分析力を「問題を見極め、要因を論理的に解明する」と定義しており、また、いろいろなアセスメント業者が独自に設定しているコンピテンシーやディメンションを拝見すると、論理性や問題解決力だけでなく、問題認識力や課題設定力まで広げているケースも散見されます。

さて、この分析力ですが、人材アセスメントの評価においてアセッサー間で解釈や評価が分かれるコンピテンシーの一つです。

解釈や評価、つまりある受講者の方の演習上のアウトプットを目の前にして「分析力は6か5か4か3か2か1か?」の議論を進める場合、そのプロセスも分散、結果も分散することが頻発します。最終的にはコース責任者であるリードアセッサーの鶴の一声で決定するケースが多いものの、リードアセッサーの解釈もそれぞれであり、経験上、「何だかな…」の場面が数多かったと。

分析力の評価を少しでも高めるためには?

であれば、昇進昇格アセスメントの合格に向け、各アセスメント業者が感覚的に評価しがちな分析力、平均スコアが低くなりがちな分析力での立ち回りがポイントになってきます。今回はその付近を簡単にご案内いたします。

・御社で実施される昇進昇格アセスメントのコンピテンシーの定義を正しく理解する

この場合、分析力・問題解決力・論理力・問題認識力・課題設定力などのあれこれが登場、中には似たものが複数登場して皆さんを悩ませる場合もあり、また、定義そのものが意味不明であったり、コンピテンシーと不整合であったり、必然性が疑わしかったりするときもあります。それでも依るべきものは各業者が設定しているコンピテンシー(アセッサーも受講者の皆さんも)しかないので、そこはムリにでも信用し、「解析」「論理」「問題発見」「原因分析」「課題化」などの、どの部分を重視しているかを意識して各演習に取り組みましょう。

・どの演習で分析力が評価されるかを理解する

昇進昇格アセスメントでは何種類かの演習が実施されますが、ある演習を実施する意味は「そのある演習で特定のコンピテンシーや特定のコンピテンシー群を評価する」となります。話題の分析力、および分析力を含む思考のコンピテンシー群を評価するための演習はインバスケット演習やインバスケット方針立案演習であり、グループ討議や面談演習は対人のコンピテンシー群や資質のコンピテンシー群を評価するために実施します。

つまり、グループ討議や面談演習において、分析力を意識する必要性は薄く、反対にインバスケット演習やインバスケット方針立案演習で気張ることがポイントになります。

・インバスケット演習やインバスケット方針立案演習は「分析力」だけを測る演習ではなくて

今更ながらですが、インバスケット演習では思考のコンピテンシー群を評価するものの、その中には「理解力」「計画力」「創造力」といった「分析力」とは趣が異なるコンピテンシーも合わせて評価、また、インバスケット方針立案演習では、「概念化」「大局観」「革新性」などのビジョンや戦略を立案するために必要なコンピテンシーを主として評価します。

これを踏まえると、「解析」「論理」「問題発見」「原因分析」など「分析力」に関係するコンピテンシーについて、効率的に効果的にアウトプットすることがポイントになります。

言葉を変えると、手成りでインバスケット演習の案件に解答するのではなく、「この案件では分析力の評価が高くなるように解答しよう」といったプレゼン思考が必要になります。

・高めそうで低めている解答例

分析力に限った話ではありませんが、何をどう思ったか以下のような解答が散見されます。

「Aさん、このデータを分析しておいてください」

「Bさん、私が着任するまでにこの問題の原因を分析してください」

「Cさん、他のエリアでも同様の問題が発生するか分析しておいてください」

「Dさん、仮説を立てて分析してみてください」

「Eさん、まず分析、その後、解決策を立案しておいてください」

Aさん~Eさんの分析力は高く評価されるかもですが、分析ができないことを自白した受講者のZさん、分析力は当然、最低の評価になっちゃいますよね。注意してください。