インバスケット演習に正解はあるのか?
インバスケット演習の合格セミナーで…
先日に開催されたインバスケット演習の合格セミナーで、受講者の皆さんと意見交換を進める中で気になった点が今回のコラムのテーマとなります。
やはり多くの方が「インバスケット演習には正解がある!」「評価するアセッサーはインバスケット演習の各案件の模範解答、あるいは採点基準のようなものを持ち、それに基づいて私たちの解答を評価しているはず!」と思い込んでいるようでした。
全てお伝えすると大きな問題に発展するので控えますが、そのような代物は存在しないとお伝えさせてください。関係者からは「いや、アセッサー用のインバスケット演習の解説書や評価基準書は存在するよ!」との反論が聞こえてきますが、それはごく一般的なものであったり(つまりあるケーススタディ固有のものではない)、内容的にまさに解説書(つまりあるケーススタディの概要説明や案件解説程度)であったり、それを使えば誰もが迅速に正確にインバスケット演習の各案件を評価できるといった代物ではありません。
インバスケット演習に正しい解答は存在しません
あらためてですが、正しい解答、つまり正解は存在せず、反対に間違っている解答、つまり不正解も存在しません。なので、もし「幽霊の正体見たり枯れ尾花」となり、インバスケット演習で己の力を十分に発揮できていない受講者の方、今回のコラムを是非ご参考にしてください。
一方、インバスケット演習にはある解答が存在します。それも2つ。当たり前ですが「良い解答」と「そうでない解答」の2つです。
何でしょう? 「正しい解答は良い解答、不正解はそうでない解答、単なる言い換えレベルでは?」
この観点ですが、正解と不正解の間には何も存在せず、良い解答とそうでない解答の間には幾多のレベル感の解答が存在する、これをイメージしてください。
良い解答とそうでない解答の例
あるインバスケット演習のある案件の良い解答例をまずはご覧ください。大人の事情でインバスケット演習の案件部分はカット、解答のみとなりますがご容赦ください。
中田SV
桝屋さんクレームの件、2月2日の朝、一番にお客様に電話連絡、お伺いしてお詫びしたい旨をお伝えしてください。(クレームは1月21日、既に時間が相当経過しています。) 川本さんが対応しているか否かは別の議論、今回、私、沢野の案件として対応する所存です。
お客様のご都合の良い日時を指定頂き、島本SMと森本店長と一緒に訪問、当然、生け込みサービスの花交換を無料で実施してください。
中野店で未実施の理由は永福店独自のサービスであったこと、そして店舗間の競争意識が強くなっていたことを説明してください(ただし、店舗廃止計画については言及しない)また、過去の森本さんの言い訳は問答無用で指導しておいてください。あまりにも次元が低すぎます。
月額1万円の生花生け込みサービスは永福店を窓口に継続させていただくことをお願いしてください。準備不足があったため品質などでご迷惑をおかけしたことをお詫び、今後、他店舗展開のモデルケースとしてモニターとしてご賛同いただきたい。週1、無料、3ヶ月間の条件、ただし3ヶ月後に継続か廃止か、価格変更かについて結論を出すこともお願いしてください。その際はモニターとしてのご意見を頂きたい旨、当社は費用構造をオープンにするので当該サービスの将来について一緒に考えて頂きたいと無理なお願いをしてください。
着任後、あらためてEMがお詫びに伺うこともお伝えください。各SV、各店長
ある店舗で新たな施策を実施しました。店長の意欲の現われでしたが、準備不足は否めず、また、店舗閉鎖計画についての間違った認識によるものと考えられます。単純な売上高比較による店舗閉鎖は実施致しませんのでご安心ください。ただし、店舗閉鎖がないとは言えませんが、店舗閉鎖と人員削減は別次元です。現状からの人員削減は実施しないので引き続き、お客様目線で現場での新たな改善を期待します。この点、新たな改善(既にある仕組みの手直し)はSVやEMの事前決裁は必要としません。ただし新たな施策(これまでにない仕組みの実行)については事前に相談してください。
この点、新たな施策を報告なしで実施しているケース、関係してお客様からお叱りを頂いているケースがあれば、直ちにSVに報告してください。帰国後、対応させて頂きます。また、お客様に対してのスタンスを今一度、再確認してください。私たちは花を売ることが仕事ではありません。この点、ご意見があればEMやSM、SVまでお願いします。
私個人の考えですが、私たちが売っているものは、日々の生活の中でのリラックスです。売上はあくまでついてくるもの、そのスタンスで第2エリアはマネジメントしていきます。
では、そうでない解答をご覧ください。
永福町店長 森本さん
このようなクレームのようなメールが届いています。
これは本当の話でしょうか。私としては信じられない思いです。
もし本当のことであればクレームの改善に向けて動いてください。
以上です。それではよろしくお願いいたします。
いかがでしょうか?
良い解答と比較するとやはりそうでない解答に映りますよね。
さらにご覧ください。
永福町店長 森本さん
はじめまして。新任の沢野です。
この件の解決に向けてよろしくお願いします。
いかがでしょうか?
そうでない解答と比較するとさらにそうでない解答に映りますよね。
さらにご覧ください。
緊急性は高いが、内容が不明確なので帰国後に対応する
いかがでしょうか?
さらにそうでない解答と比較すると「評価不能の解答」に映りますよね。
正解に縛られずにインバスケット演習は解答しましょう
良い解答とそうでない解答の考察であったはずですが、良い解答と評価不能の解答の考察になってしまいました…。受講者の皆さんが思い込んでいるインバスケット演習の正解の存在ですが、ここに示した「良い解答」のレベル感からすると、インバスケット演習の各案件に対し、インバスケット演習の作成者側、あるいはアセッサー側が用意できるはずがないと論理的にも現実的にも思えませんか?
なので賢明な受講者の皆さんは、この良い解答に向けてあれこれ近づけていくことを目標にしてみてはいかがでしょうか?
この解答を出せる書けるようになるまでには、少し時間はかかりますが、本質を理解し、ノウハウを押さえ、インバスケット演習の解答の試行回数を増していけば到達可能です。そして今回のテーマにあるように、何も全ての案件にこのレベルで解答する必要はなく、「どの案件で?」「どれくらいの案件数で?」「どのレベル感で?」の3項目の組み合わせを自ら決定し、最終アウトプットを想定しつつ処理(解答)を進めていく、これで他の受講者の方との差別化は十分に可能です。
「どの案件を解答すべきか?」「どれくらいの案件数を解答すべきか?」「どのレベル感で解答すべきか?」
インバスケット演習は手成りで対応・解答するものではなく、解答に取り組む前にこの3観点で考察を進め、最終アウトプットをイメージして解答するものです。
一方、受講者の皆さんは本質の部分、ノウハウの部分、試行回数の制限の部分で、あきらかに「正解」から遠ざけられています。この「良い解答」を出せる書けるインフラ部分はお持ちの方ばかりなのに…
ということでCMになりますが、みんなのアセスメント・サブスク版を上手く活用してインバスケット演習、いや人材アセスメントや昇進昇格アセスメントの各演習(面談演習やグループ討議、方針立案演習)を含め、本質・ノウハウ・試行回数を理解、そして取り組み増加を進めていただければと思います。
そうすることで、今回ご案内したインバスケット演習の良い解答である約3万9,000名中の第1位に近づいていくこと可能です。