フィードバックレポートについて
人材アセスメントにおけるフィードバックレポート
人材アセスメントにおいてフィードバックレポートを含むフィードバックは重要な位置を占めています。
そのフィードバック、コース設計やカリキュラムによって違いはあるものの、大きく2つで構成されています。
一つが人材アセスメントの当日、あるいは最終日に実施されるアセッサーからのフィードバック面談、もう一つが今回、話題となっているフィードバックレポートです。
前者のフィードバック面談は当日か最終日に実施されるため、十分に評価が固まっていない場合もあり、アセッサーも十分に整理できていない状態で雪崩れ込むことも多々あります。
いってみれば受講者の方のガス抜き、人事担当者に対するパフォーマンスといった側面もあり、その場でのフィードバックの内容を、受講者の方はそこまで重視する必要はないと考えてください。
一方、人材アセスメント終了後、一定期間を経て受講者の皆さんに届くフィードバックレポート、付いてくる評価結果(スコア)は最終的なアウトプットであり、形式的な精度も信頼性も備えたものとなっており、受講者の皆さんは合否、あるいは次回に向けたアドバイスとして尊重、活用すべきものとしてポジションされています。
フィードバックレポートに関する意見
ところがこのフィードバックレポートに対する評判があまりよろしくないのが現実で、人材アセスメント業界のレベルの低さが表れています。
まず人事担当者からのクレームとして以下が上がってきます。
・日本語になっていない
・コピペが数多いけど、これは手抜き?
・誤字脱字が多くて…
受講者の皆さんからのクレームとして以下が上がってきます
・自分の思っていた結果と大きく違う
・フィードバック面談でいわれたことと内容が違っている
・自分はこんなキャラクターではない
・強みや改善点と演習の中での行動に矛盾がある
フィードバックレポートのレベル感の現状
このいくつかのクレームについては頷けるものばかりであり、業界として改善すべきと心に誓っておりますが、受講者の皆さんが読んで納得できる、そして惜しくも次回の受講となった場合のアドバイスとして参考になる、この付近まで持っていくには相当の期間を要すると思いますので、ここはスッパリと割り切って現実の中でご自身にとってプラスになる道を探っていただければと考えています。
フィードバックレポートを読んでどこが変か?
・自分の思っていた結果と大きく違う
・フィードバック面談でいわれたことと内容が違っている
・自分はこんなキャラクターではない
・強みや改善点と演習の中での行動に矛盾がある
この4点の違和感、不満のうち、前の2点は今回は忘れてください。「自分の思っていた結果と大きく違う」は自己評価が高過ぎた可能性があり、「フィードバック面談でいわれたことと内容が違っている」はアセッサーの能力不足、または受講者の皆さんのメモ忘れが原因かもしれません。
自分はこんなキャラクターではない
まず、フィードバックレポートを読んだ際、ある一つのキャラクターがそこに存在した場合、フィードバックレポートとしての品質は一定水準にあると考えてください。
そして自分が思う自分ではないキャラクターがそこに存在したのか?
・人材アセスメントの中で意識的に装った
・自分のキャラクターの認識が自他で乖離している
前者の場合は作戦ミス、次回は本来のキャラクターで頑張りましょう。後者の場合は自他の乖離を日常の中で検証しましょう。特に強みや改善点のコンピテンシーは複数人・複数階層・複数領域を相手に検証をお願い(ねーねーどう思う?)することを推奨します。
強みや改善点と演習の中での行動に矛盾がある
いってみれば内容が中でバラバラになっているという印象を持った場合です。
例えば、思考のコンピテンシーは高く、主体性や説得力も高く評価されているのに「インバスケット演習では難題の案件を決定しきれず…」
例えば、説得力や交渉力が高く評価されており、自律性もそれなり、グループ討議のコメントでは「チームの中心になって議論をリードしていました。進行のアプローチも数多く、最終結論の質的向上に貢献していました」とあるのに、「面談演習では論理的に意見を示していたものの、婉曲な発言が部下の信頼性を減じていました」
例えば、理解力や分析力が強みとなっていて、「グループ討議では他者見解を正しく迅速に理解し、面談演習では部下の提示する問題にさまざまな角度から深堀り質問を進めていました」とあるのに、「方針立案演習(分析演習)では、与件企業の外部環境分析が甘く、課題認識も不十分でした」
この3つの例えばですが、全て次回の人材アセスメント頑張ってねの方に届いたとすると、おそらく「どのコンピテンシーがダメだったのかわからない」という意見になるのでは?
不合格の要因と次回に向けてのポイント
このような矛盾があるレポートを受け取り、「どのコンピテンシーがダメだったのかわからない」の状況に陥った場合、不合格の要因や次回に向けてのポイントをコンピテンシーで把握することは難しいと思います。
人材アセスメントの合否判定はブラックボックス的なところもあり、またコンピテンシーの力を日常業務で磨くとなると形式的なものとなり、そんなことに真剣に取り組む人も稀でしょうが、全く意味はありません。
なので目を向けるべきはレポートの中で示されていた行動、そして全体評価や強みや改善点と矛盾や違和感があるところとなります。
「インバスケット演習では難題の案件を決定しきれず…」
「面談演習では論理的に意見を示していたものの、婉曲な発言が部下の信頼性を減じていました」
「方針立案演習(分析演習)では、与件企業の外部環境分析が甘く、課題認識も不十分でした」
ようするに次回の人材アセスメントでは「インバスケット演習で判断に迷う案件について明確に決定すればいいのね」「面談演習で要望をストレートに伝えればいいのね」「方針立案演習では外部環境分析と課題の項目を書いて、それなりの内容をそれらしく書けばいいのね」あたりにしておくほうが本質であり、効果的です。
次回の合格に向けたポイントは「ファンタジーのようなコンピテンシーの能力開発」ではなく、「この演習でこれがアウトプットされなかったので不合格だった。次回の人材アセスメントでは指摘があった具体的な行動を派手目に印象強くプレゼンテーションするか」と合理的に大人的に現実的に考えるようにしてください。
ただ、次回の人材アセスメントでのぶっつけ本番はリスキー、みんなのアセスメント・サブスク版で「具体的な行動を派手目に印象強くプレゼンテーションする」をトレーニング、ではなくリハーサルをしておくことを推奨します。