アイ・メッセージとユー・メッセージ

初めて聞いた人も

人材アセスメントや昇進昇格アセスメントではフレームワークが大活躍します。このフレームワークは主に方針立案演習やインバスケット演習で重視されますが、面談演習ではあまり活用されていないようです。

そこで今回、コミュニケーション学(?)で広く研修的に使われている「アイ・メッセージとユー・メッセージ」をご紹介します。

アイ・メッセージ ・・・自分を主語にした主張

ユー・メッセージ ・・・相手を主語にした主張

とてもシンプルです。

例えば部下が職場の不文律を軽視するので困っているとき、ユー・メッセージは「あなたは不文律をなぜ軽視するの?」、アイ・メッセージは「(私は)もっと不文律を重視してほしいと思っています」

なんだか書いていてもよくわかりません。

ものの本によるとユー・メッセージは批判や非難、指示につながるコミュニケーションなので一般的には抑えるべきであり、アイ・メッセージは要望や願望、依頼につながるコミュニケーションなので一般的には増やすべきと言われています。

面談演習の場合には?

やはり教科書的にはアイ・メッセージを前提とすべきになります。

ただ、アセッサーの立場からすると、アイ・メッセージが心に響くというよりも、ユー・メッセージは反発を招きやすいので比較すればというレベルに留まります。

またアイ・メッセージを多用したとしても、最終的に面談の目的が「説得」「会社都合」になっていればユーでもアイでも大差ないのかなと…。

なので、みんなのアセスメント・サブスク版では、コミュニケーションスタイルではなく、テーマ選択(問題認識)でユーかアイかをまずは意識することを推奨します。

当然、ここはユー、つまり部下目線でテーマ選択(問題認識)をすることがポイントとなります。

自己防衛のためのヒアリング?

面談演習のケーススタディにはいくつかの構造があり、みんなのアセスメント・サブスク版では「与件シートを読むときは構造を意識しましょう」とアドバイスしています。

その構造の一つに「問題状況が不明確(同時に問題状況に対する部下の意見も不明確)」があり、この場合、面談演習(ロールプレイ)が始まるや否や、多くの受講者の方は一斉にヒアリングを進めます。

このヒアリング、面談演習を進めるためには当然、必要な場面なのでその存在は否定しませんが、ヒアリングの際、部下役のアセッサーが覚える違和感です。

「何を目的としたヒアリングなのかな~」

問題状況が不明確な構造の場合、多くの受講者の方は以下を目的としてヒアリングを実施します。

・与件シートの中の疑問点についてヒアリング

つまり「上司として問題をどうするか」、「打開策を考えるためにも部下の意見をまずは聞いておく」など、面談演習の中でのキャスト、それ以前である、「受講者」の立場でヒアリングに熱中している様子が顕著です。

おそらく背景には「このあたり事実関係が不明確だから確認しておかないと」、「自分の理解が合っているか確認しておかないとアセッサー(部下役)に突っ込まれるから」など。

これはヒアリングではなく再確認、それも自己防衛の趣きが強く、部下役のアセッサーは「ハイハイ」と簡単に評価を下します。

・相手のことではなく、まずは自分のことを考えるタイプかな…

・建設的ではなく、防衛的なタイプかな…

・挑戦よりもリスク回避を重視するタイプかな…

ただし、中には「事実関係が見えないと気持ちが悪いから」「自分の理解が不十分だと相手に迷惑をかける可能性があるから」「一つの論点毎に合意をとっておきたいから」などのタイプの受講者の方もいるので一概には言えません。

この付近は別の演習であるグループ討議、インバスケット演習で重ねて評価していくので最終評価の段階では皆さんがご心配するには至りませんが、余計な印象をアセッサーに与える必要はないかと思います。

ということで、問題状況が不明確な構造の場合は特に注意が必要ですが、一般論としてのアドバイスになります。

10分間の準備時間に自分が理解したことを再確認するためのヒアリングはあっさり見透かされる