嘘つき

嘘つきの受講者

人材アセスメントの各演習を受講する場合、真正直な人は不利になる傾向があるのではと実感しています。

そもそも各演習である面談演習、グループ討議、インバスケット演習の状況設定そのものが胡散臭く、非現実的であり、真正直な方や真面目な方は「こんなのあり得ない」と怒り出す傾向があり、そこまで極端でなくても「我が社のルールでは」「一般的にいえば」「常識的に考えて」など、各演習の中身に入りきれずに正論をのたまってしまい、付加価値の薄いアウトプットとなり、あえなく撃沈となるパターンが散見されます。

一方、真正直と嘘つきのハイブリッドタイプの方は、「そうはいってもケーススタディだし」「この条件で考えろと指示があるので」「何だかなとは思うけど時間優先で可能な限り答えておくが無難」と処世術的に対応、そしてそれなりにご自身の力を存分に発揮して、それなりにの評価を得ることにつながります。

そこで完全に嘘つきな方は逆手にとってケーススタディの中に「どっぷり」と浸かり、「日常的にはあり得ない方針」「日常的には及ばない施策」「日常的とは対極的な優等生キャラ」をしっかりとプレゼンテーションして余裕で合格していく。

そこを見抜くことがアセッサーの使命であり、人材アセスメントの場で発揮されたアウトプットから日常的に発揮しているコンピテンシーを評価することがアセッサーの任務であり、簡単にどっぷりとは浸かれないようなケーススタディを開発することがアセッサーの特殊能力な訳ですが、現にここで十分にアウトプットされてしまっているので、それを「嘘」とは言えない厳しい現実があります。

せいぜいその付近を弱みとして取り上げ、「インテグリティ」や「達成心」を低く評価することで、姑息に溜飲を下げるといったレベルでの対応となります。

嘘つきのアセッサー

受講者の方の嘘を見抜くことがアセッサーの使命である以上、アセッサーは全ての受講者以上の嘘つきであれと願ってはいますが、現実にはこれがなかなか厳しい…。

この現実を仕方がないと受け止め、コース設計者は演習の設定やケーススタディの内容でいくばくかの嘘を仕込み、「OK、今回の受講者は嘘を見抜けない真面目な方が多いので、そこまで審美眼を高めなくても大丈夫だな」と今回の受講者の方の最高評価点を何となくイメージ、そして評価を進めていくことになります。

いくばくかの嘘の仕込み方?

個別の例示は手品の種明かしになるので控えますが、本質的には以下のようになります。

  • 真正直な方や真面目な方が「フンフン」と納得するように尤もらしく書くが、実はヘンテコなことが書いてある。
  • 真正直な方や真面目な方が「ナニコレ!」と憤慨するようにイタく書くが、実は真っ当なことが書いてある。

「書いてある」は配布される資料、提示される資料についてなので、インバスケット演習や面談演習、グループ討議に関わってきます(ビジネスケースタイプの方針立案ではあまり仕込まない)。

受講者の方は「あのトラップ」なんておっしゃいますが、いってみれば受講者の方のミスを誘うような部分なので、あながち「あのトラップ」といった表現にも頷けるものがあります。

このトラップについてですが、数多くの「真正直と嘘つきのハイブリッドタイプの方」は、トラップに気づきながらも「ヘンテコだ!」とも「真っ当だ!」とも叫ぶことなく、周りと一緒に裸の王様を褒め称えるんですね。これが。

そして振り返りセッションや課題解説の場面で、それが話題になると「気が付いていたのに…」と悔しい思いをされるケースが多いようです。

1人の子供になって「王様は裸だ」と本当のことを言う? 言わない?

真正直な方や真面目な方は言わないでおきましょう。その理由はあえて伏せさせていただきます。

数多くの真正直と嘘つきのハイブリッドタイプの方は勇気を出して言いましょう。グループ討議なんかで周りが賛同してくれなくても、アセッサーは分かってくれる可能性が高いです。面談演習では周りが存在しないので同様の方向で対処してください。インバスケット演習は書き方が難しいけど、「そこがトラップですね」「気づいていますよ」といったサイン程度は最低限、書いておきましょう。書き方は別なのでそこは勘違いしないでくださいね。

完全に嘘つきな方は必ず声高に訴求するし、必ず説得材料、反論材料にするし、必ず指示文に織り込んでくるので心配していませんが、言い方や書き方には細心の注意を払ってください。

「得意顔やしたり顔は禁物です」

また、ご自身が真正直な方なのか、ハイブリッドタイプの方なのか、ドヤ顔の面倒くさいタイプの方なのか判断がつかない場合にはどうするか?

みんなのアセスメント・サブスク版をご活用ください。何らかのヒントを得ることができます。