面談演習で「説得」よりも大切なこと

説得とは?

お決まりのWeb辞書で確認すると「相手が納得するように話すこと」と書いてありますが、残念ながら人材アセスメントの面談演習では、部下役であるアセッサーは脅し透かしても絶対に納得することはありません。厳密には「納得しても『納得した』とは言いません」が正解ですが…。

シンプルな理屈ですが面談演習の10分間は、あーだこーだと言い続けなければ面談演習として成立しないため、そして仮に「わかりました」「納得しました」と告ってしまうと受講者の方に「うん、面談演習は成功したんだ」といった印象というか誤解を与えてしまう。ゆえに私たちアセッサーは上司役を演じている受講者の皆さんにかなり盾突くことになります。

構造的に説得はできないのが面談演習であると捉えてください…

部下に寄り添うこと?

では何を目的に面談演習に取り組むべきか?

すると感受性やコーチング、部下育成といったコンピテンシーの高評価を狙って「部下に寄り添うこと」を命題に取り組む方が増えてきます。

この「部下に寄り添うこと」ですが、受講者の皆さんの面談演習の様子を見ていると、正解のようで正解でないといえるような…。

・「どうしたい?」「君の思いは?」ようなコーチング的な言葉をかける

・「気持ちは理解しました」「辛かったよね」とわかってあげたような言葉をかける

この働きかけ、けっして間違いではありませんが、で、収束の方向性に難があると考えます。

「どうしたい?」「気持ちは理解しました」ときたら、一般的に次に続く言葉は何でしょうか?

・「じゃあ、その方向に一緒に進みましょう」

・「私も協力するので頑張っていきましょう」

どう考えても、この付近が一般的な文脈になりますよね。言っても受講者の皆さんの次に続く言葉は以下のようになります。

・「そうは言っても」「よくわかったけれども」「現実を踏まえると」「現時点では」…

結局、寄り添ったキーワードを使っただけ?

だからアセッサーからすると「ヘンテコな寄り添い」「ムズムズさせる寄り添い」「痒くなる寄り添い」になってしまいます。

完璧に寄り添いましょう

面談演習のケーススタディ、いろいろな設定があるものの、部下の不満は以下のようなものが多いのかな。

・今の仕事では完全燃焼できないから

・職場の不条理に納得できないので

・誰が決めたか解らない職場のルールを変えたいと思っている

・上層部の決めた非現実的な方針を受け入れることはできない

・皆がやっていることや会社が以前、決めたことにどうしても納得できない

と、部下は考えている訳で、そんな部下に寄り添ってあげるってどんなことかを真剣に考えて面談演習に臨みましょう。

猫なで声で「あなたの考えはよくわかる」、したり顔で「確かに一理ありますね」、答え持ってないのに「他に選択肢はありませんか?」、そして収束場面で「よくわかったけれども、現実を踏まえると現時点では難しいので、ここは我慢してください」

頑張って寄り添ったのに自分で希釈化しちゃってますよね。はっきりいうと、こんな面談演習の働きかけ(かなりの確率で見かけますが)は、ゼロ解答ではなくゼロ●●に近いシロモノです。

収束場面でのポイント

もう明確ですが、以下が本線になります。

収束場面で「よくわかった、現実を踏まえると現時点では難しいことが沢山あるけど、ここは私がそれを解決したいと思います。一緒に難関を超えていきましょう」

寄り添いの仮面をつけたのであれば、面談演習のたかが10分間、寄り添い仮面を付けて最後まで演じていきましょう。

受講者の皆さんからの質問

「えー、それだと説得力や主導性、インフルエンスが低い評価になりませんか?」

なりません。詳しくは合格セミナーでご確認くださいね。