グループ討議での頑張り方

頑張ってもさほど…

昇進昇格・選抜・格付けを目的とした人材アセスメントに取り組んで約26年、それらの多くは以下のカリキュラムというか演習品目で実施してきました。

  • インバスケット演習
  • ビジネスケースタイプの方針立案演習
  • ヒアリングタイムを交えた方針立案演習
  • ミニケーススタディ演習
  • 面談演習(受講者vsアセッサー)
  • 面談演習(受講者vs受講者)
  • グループ討議
  • インバスケットグループ討議
  • ビジネスゲーム
  • 論文審査
  • 業務内容インタビュー

駆け出しのころは3日間で実施される人材アセスメントも多く、演習も盛り沢山でした。そして時は流れ今では2日間や1日間での実施が主流となり、演習の品目数も連れて限定的なものに…。そしてオンラインとライブのハイブリッドタイプでの実施が主流(弊社調べ)となると、企業さんへの提案の際、標準で3品目、頑張って4品目、制約が厳しいと2品目、私たちにとっては評価の時間も評価の証拠も縮小圧力が大きくなってきています。

そんな中、標準の3品目の場合で人材アセスメントを実施する場合、やはりインバスケット演習・面談演習・グループ討議が参上となります。

では制約が厳しい2品目で実施してねの場合、評価したいコンピテンシーや人材アセスメントの目的にもよりますが、弊社であればインバスケット演習・面談演習でと提案いたします。

極端ですが1品目でとなった場合、これも評価したいコンピテンシーや人材アセスメントの目的にもよりますが、インバスケット演習の一択に落ち着くかと思います。

すると演習の品目に対し、弊社ではその重要性というか効果性というかで順を付けるのであれば「インバスケット演習>面談演習>グループ討議」になるといった理屈です。

これは業界全体の評価眼も踏まえての意見ですが、グループ討議って受講者の方のレベル感、あるいは本質(タイプとか表面的なところでなく)が見え辛いことが本音です。別の言い方、受講者の方の観点では「あまり差がつかない」と捉えていただいて結構です。

どのコンピテンシーで稼ぐかを考えましょう

では受講者の方、アセッサーの本音として「見え辛い」「あまり差がつかない」のがグループ討議の演習上、評価上の特質とすると、ここで賢明な立ち振る舞いは「アセッサーが見えやすいようにしてあげる」「差が際立つようにしてあげる」となります。

なので、グループ討議に取り組む際の狙いとして受講者の方が頻繁に挙げる以下の項目は「何と言ったらいいか…」に落ち着きます。

  • 受講者全員で協力して確かな結論を導く
  • 場をリードするとともに議論を深堀しつつ、全員を発言を引き出し、皆が納得できる結論に辿り着いて参画してよかったという満足感を与える(長いけど…)
  • 活力があって話し易い雰囲気で討議が進むとともに、真摯に議論を戦わせ、個人では思い浮かばなかったアイデア、意見、方向性が登場、そしてさらにブラッシュアップを図っていく(長くて…)

確かな結論であろうが、話し易い良い雰囲気であろうが、それは一人の受講者の方の手柄であるとは言い切れず、アセッサーは結論や雰囲気それ自体を評価することが仕事ではありません。

頻繁に挙げる以上の項目は、グループ担当のアセッサーが討議を終えた感想を訊ねてきた場合、波風を立てずに適当なことをコメントしなきゃで活用していただければですが、受講者の方の狙いは次のようなものにしてください。

・「自身はこのコンピテンシー【受容性】が優秀です」をプレゼンする

・「このグループの中で【自律性】は№1だと思います」を前提で発言する

繰り返しですがポイントは「アセッサーが見えやすいように」「差が際立つように」となります。

競争率が高いキャラ

この「自身はこのコンピテンシー【受容性】が優秀です」「このグループの中で【自律性】は№1だと思います」をプレゼンする場合、自他ともに認めるタイプや特徴、キャラクターをプレゼンすることがポイントです。

だって「見えやすく」「差が際立つように」なので、借りてきた猫をキャラクターで設定・プレゼンしたとしても、丸くなるか平均程度に落ち着くかのレベルです。ではなく、借りてきた猫ではなく居座っていた犬、つまり本来の自分のキャラクターを大袈裟に見えやすく、あざとく差が際立つようにが本線となります。

そして、ここで多くの受講者の方が勘違いをしています。グループ討議では主導権を発揮するリーダータイプが高く評価されるので、借りてきた猫として「主導や先導」「みんなをまとめ上げる」「議論を前に進めていく」を設定すべきだと。

もともとのキャラクターが「主導や先導」であれば、これを大袈裟にあざとくプレゼンしても問題はありません。ただ、そうでないキャラクターの場合、これを大袈裟にあざとくプレゼンすることは極めて難しい。大袈裟にあざとくしたつもりが、傍からは【滑稽でたどたどしく】が関の山となります。

増して、勘違いした受講者の方が多いので、このキャラクターの競争率は高くなり、差が際立つどころか群衆に飲まれてしまうにもなりかねません。

居座っていた犬のプレゼン方法

では、居座っていた犬、いわゆるあなたのキャラクターをどうやってプレゼンすればいいのでしょうか?

答えは簡単、「私は【受容性】が高いです」「私は異論を肯定的に受け止めます」「私は少数意見も大切にします」「私は意見が異なる相手であっても冷静に穏やかにディスカッションし、第三の解を難なく導きます」と約50分間、繰り返し発言することがお手軽でしょう。

ただ、この文言をそのまま約50分間、ひたすら繰り返し発言してしまうと、かなりの確率で受容性はゼロ評価、そしてアセッサー含め、周囲の視線は「この人、大丈夫じゃないよね…」となりますよね。

なので、この文言は発言、つまり口にするのではなく、グループ討議の中での行動で示すことになります。この付近の雰囲気、伝わるでしょうか?

この「自身のキャラクターのプレゼンは行動(当然、発言も含め)で示す」ですがネックが2点。

・自身の居座っていた犬ってどんなキャラ?

・行動(当然、発言も含め)で示すってピンとこない

次回、合格セミナーで検証とリハーサルをしてみては?