人材アセスメントにおけるコンピテンシーの設計

人材アセスメントを実施するときのコンピテンシー

人材アセスメントに取り組んでいるコンサルティングファームは大小合わせて数多くあります。

そして大小のコンサルティングファームは積極的にコンピテンシーについて提案しています。

自社の提案するコンピテンシーが多様性に富んでいること、唯一無二であること、緻密であること、最終的には価値があることを。

同様に弊社でも「仕事をする力」を最上位階層におき、次の階層を「考える力」「仲間と働く力」「信頼を得る力」とする体系を基本的な概念としています。

そして、続く階層には「理解」「受容」「決断」など15項目のコンピテンシーを設定していますが、この階層のコンピテンシーについては、案外、自由にとらえており、お客様のご意見によって再設定をさせていただくケースも頻繁にあります。

反対に、お客様から「他社の社員さんと比較をしたいので、比較可能なコンピテンシーを提案してください」といったご要望があった場合には、私たちが設定している「理解」「受容」「決断」などで人材アセスメントを行います。

ただし、繰り返しになりますが、ここで設定している「理解」「受容」「決断」などのコンピテンシーに私たちはあまり強くこだわっていないことが現実です。

人材アセスメントにおいてコンピテンシーは重要なのか?

このコンピテンシーというシロモノ、他社の社員さんと比較をする際の共通尺度としての価値はあります。一方、そのコンピテンシーの評価が高いと「仕事で成果を上げることができる」「リーダーとして優秀な社員」「次の次のトップに相応しい人物」と言えるかは案外ボンヤリしているからです。

「理解力が確か=仕事で成果を上げることができる」「受容性が高い=リーダーとして優秀」「決断力が抜群=次の次のトップに相応しい人物」と何千人、何万人の検証が済んでいるのであれば問題ないのですが、本当に検証可能ですか? 本当に検証してきましたか?

そもそも「仕事で成果を上げることができる」「リーダーとして優秀」「次の次のトップに相応しい」という目的変数と「理解力」「受容性」「決断力」という説明変数の多変量分析を意識して取り組んできたコンサルティングファーム、人材アセスメント業者はごくわずかであると私たちは知っています。

ということで、この人材アセスメントにおけるコンピテンシー、業者サイドから提案される体系や項目は、「古今東西、何となくリーダーってそうだよね」と思われてきた一般的なキーワードをそれなりにまとめ上げたものが多いと考えてもよさそうです。

本来であれば、コンサルティングファームや人材アセスメント業者サイドが、目的変数(優れたリーダー、結果を残したマネージャー)と説明変数(コンピテンシーを要因とおいて)を自社で仮説的に設定し、アセスメントの結果を積み上げて検証、積み上げて検証のサイクルを回すことで、自社のコンピテンシー設計が意義あるものであることを企業さんに提示してこそだと考えていますが、道は険しく半ばであることが現状でしょうか…。