「仕事ができる人」が、なぜ筆記試験で平均点止まりなのか?
人材アセスメントにもいろいろな種類がある
企業さんで実施をしている「昇進昇格アセスメント」「人材アセスメント」にもいろいろ種類があります。
本線はみんなのアセスメントや未来のアセスメントで扱っている「演習主体の人材アセスメント」ですが、他にもアンケートに答えるタイプの「占いのような人材アセスメント」、MBAで扱うテーマや専門的なテーマを試験形式で問う「テストのような人材アセスメント」があります。
この「演習主体の人材アセスメント」「占いのような人材アセスメント」「テストのような人材アセスメント」は一長一短があり、唯一これという正解があるわけではなく、組み合わせる形で総合的に実施することで最適な結果となるものと考えます。
よくある組み合わせとしては一次試験として「テストのような人材アセスメント」、二次試験として「演習主体の人材アセスメント」があり、傾向としては、予算を意識しながら確かな結果を得ることに重きをおいて実施する企業さんが多いようです。
「テストのような人材アセスメント」
みんなのアセスメントや未来のアセスメントで「テストのような人材アセスメント」はメインではありませんが、ある目的からこの「テストのような人材アセスメント」について再考する必要性に迫られています。
この「テストのような人材アセスメント」、巷では中小企業診断士の一次試験の7科目(経済学・経済政策、財務・会計、企業経営理論、運営管理、経営法務、経営情報システム、中小企業経営・政策)を出題テーマとしたり、MBAで扱う内容を出題テーマとしているところが多いようです。
この2つのテーマについて、約40年前から向き合ってきた「中の人」としては、テストとして出題されると成績結果が分散することを当然としつつ、「なぜ、同じ講義を受けてるのに、これほどまでに差が生じるのか?」が大きな疑問として残り続けていました。
・予習復習の差かな?
・学習時間の差かな?
・記憶力の差かな?
そんなシンプルに答えが出るとは思えませんが、それでも考え続けていたことを仮説的に結論としてお伝えしたいと思います。
テストの成績を「見える化」する
シンプルなフレームにすると、テストの成績は「知識×理解×スキル」になります。これを弊社では「テスト成績三層再現モデル」と名付けており、テストの成績は、次の3要素の掛け合わせで説明できると考えています。
①知識(どれだけ触れているか)
②理解(どれだけ深く広く理解できているか)
③スキル(どれだけ再現できるか)①知識
・読んだことがある
・考えたことがある
・経験したことがある②理解
・本質的に理解
・グラデーション的に理解
・体系的に理解③スキル
・思考スキル
-想起力(必要な知識を引き出す力)
-メタ思考(自分の思考を俯瞰する力)
・姿勢スキル
-ストレス耐性
-ケアレスミスの抑制(集中力)
このテスト成績三層再現モデルで、ある受講者の方のケースを考えてみましょう。
ケース:社内評価は優秀だが点が伸びない受講者
あるマーケティング講座に参加していたAさん(30代・営業マネージャー)は、社内でも高い評価を受けている人材でした。
日々の業務では的確な意思決定を行い、部下からの信頼も厚い。ディスカッションでも鋭い発言が多く、講師からの評価も決して低くはありませんでした。
しかし、筆記試験になると結果は伸びません。
平均点をやや上回る程度で、上位には入らない状況が続いていました。
分解すると何が起きているのか
テスト成績三層再現モデルでAさんの状態を分解すると、次のように整理できます。
① 知識
・実務経験が豊富で、関連する事例は多く持っている
・ただし、キーワードについて内省したことは少ない
→ マーケティングの「経験知」はあるが、深く考えたことはない
② 理解
・キーワードの本質は理解していない
・体系的に整理されていない
→ 理解水準は今一歩
③ スキル
・回転が速く、瞬時に記憶から呼び起こす
・プレッシャーには強い
→ 生産性は高く、試験環境にビビらない
なぜ成績に結びつかないのか?実はこのケースの本質は明確です。
Aさんは、制限時間内に数多く回答をすることに長けており、守備範囲も広く、「これ初めて聞いたぞ」などといったことはありません。実務経験もあり、 Aさん本人は「営業とかマーケティングとかは得意だ」という自負があるにもかかわらず、理解が浅い(本質や体系が弱い)ことが原因で成績に結びついていません。さらに、理解が浅い原因としては「キーワードについて深く考えることが少ない」と整理されます。
このような場合、打ち手は明確になります。
Aさんは、わかった気になっていますが、「読んだことがある(聞いたことがある)」「経験したことがある」が中心であり、あるマーケティングのキーワードや領域について「深く考えたことがない」、したがってそれを「深く内省的に考えること」がポイントになります。これを通じて「その本質を説明できる」「実務の場面での成功例と結び付けて説明できる」「その上位レイヤーや下位項目と切り分けることができる」、ここを目指して学習を進めることが重要といえるでしょう。
成績 =(触れた時間)×(理解の質)×(再現する力)
テストに向けて同じ教材を使い、同じ時間をかけても、成績には明確な差が生まれます。この差を「地頭」や「センス」の一言で片付けてしまうと、具体的な改善の打ち手は見えてきません。重要なことは不足している点に対してアプローチすることが、テストの成績アップに向けた最短距離になります。
ぜひ、このフレームを活用し、「テストのような人材アセスメント」で良い成績を目指してくださいね。
